選抜高校野球が始まり1回戦の後半が終わりましたが、手に汗握る投手戦が多く、好ゲームが繰り広げられています。
さすがは秋の地区大会で好成績を残したチームです。
今回はその1回戦の半分の8試合を要約的に振り返っていこうと思います。
★がついている試合は筆者が現地で観戦していました。
高知 4-2 東洋大姫路
近畿地区代表が勢いに乗る大会の中でこの試合は、四国王者の高知が意地を見せた。
4回まで両投手の投げ合いで、先制した方が勝利に限りなく近づくと踏んだ。
そして5回、ついに高知打線が奮起。
5回表は1アウトから3連打で1点を取り、2アウトから2点タイムリーで計3得点。
6回には相手のエラーで1点を追加。
東洋大姫路の好投手・森健人の力強いストレートに振り負けず、鋭い打球で強いゴロを転がす。
野球の基本を体現したお手本のような攻撃だ。
投手陣も先発の山下圭太が変化球を軸に相手打線を的を絞らせず、5回を2安打無失点。
そのあとは継投で2点を取られるものの、要所を締めて逃げ切った。
敗れた東洋大姫路も8回裏にタイムリーツーベースを放つなど、粘りを見せた戦いぶり。
藤田監督は今大会を持って退任するため、勝ち星を挙げられなかったのが痛かったが、しびれる試合展開を作ったのはお見事。
それでも4月から履正社の岡田龍生監督が就任するので、今後が楽しみなチーム。
★ 国学院久我山 4-2 有田工業
昨秋の東京都大会決勝でサヨナラ勝ちをした勢いそのままに、国学院久我山が接戦を制した。
両チームとも立ち上がりに苦しむ展開。
現地で観戦していて、この試合の勝負を分けたと思ったのは、お互いのチームは力が拮抗していて、勝負どころの1本がカギだと思った。
中盤に入ってからは徐々に落ち着きを取り戻し、好ゲームに。
国学院久我山は初回に2アウト2塁1塁から甘く入った変化球を捉えて1点先制。
それ以降もコツコツ1点ずつ入れていき、有田工業のエース・塚本侑弥から4点を奪った。
先発した成田陸は9回を完投して2失点7奪三振と好投。
力感のないフォームから放たれるボールは際どいコースに決まっていて、7安打をを許しながらも要所で抑えるのはさすが。
有田工業も守備で好プレーを見せたり、攻撃でチャンスを作るなど、相手に引けを取りませんでしたが、あと1本が出なかった。
国学院久我山は東京の強豪ながら、意外にも甲子園初勝利、おめでとうございます!
★ 星稜 5-4 天理
この試合は強豪同士が一歩も引かない延長戦を繰り広げ、最後は星稜が勝利。
8回の表までは星稜が2点を奪い、春は投手戦の傾向があるため、このまま星稜がすんなり。
とはいかなかった。
7回まで星稜のエース・マーガードが変化が鋭いスライダーを武器に、天理打線を完璧に抑えていた。
けど、8回裏から天理の逆襲が始まる。
僕が観客席から離れてる間に、いつの間にか天理が2点を追いつき、9回は両チームとも無得点で延長戦に突入。
10回に交互に1点取り、11回ついに試合が決着。
星稜が表に2アウト1.3塁から1塁ランナーが飛び出したが、ファーストが3塁に暴投し、2人がそのままホームに帰ってきた。
11回裏に天理が1点を追いつく執念を見せるものの、最後は星稜に軍配。
良く言えば張り詰めた緊張感の好ゲーム、悪く言えば泥試合。
天理の南澤佑音も延長を完投する鉄人のスタミナを見せるも、星稜の林監督の采配が1枚上手だった。
★ 只見 1-6 大垣日大
選抜史上、最も遅い試合開始となったこの一戦は大垣日大が快勝。
ナイターでやりづらさはあっただろうけど、それぞれが持ち味を出す良い試合となった。
大垣日大の左腕エース・五島幹士は只見に1失点した4回以外はほぼ完ぺきなピッチング。
完投し、2安打1失点で三振数はなんと18。
ストレートは130キロ前後でも、左打者からは打ちづらいフォームでより威力を感じた。
この試合は思っている以上に只見(21世紀枠で選出)が頑張ったと思う。
試合前のノックだとエラーが多く、失礼ながら試合になるのか心配ではあったけど、そんなことは無かった。
先発した酒井悠来はストレートが120キロ台と決して速くはない。
それでも大垣日大打線を緩急やコースを突いて、芯を外す上手いピッチングだった。
守備もノックの時とは違い、ファインプレーも飛び出した。
結果は大垣日大の完勝だったけど、福島県大会ベスト8とは思えない粘りを披露。
★ 花巻東 4-5 市立和歌山
強打の花巻東と投手力の市立和歌山とまさに「ほこたて」と言えるカード。
個人的にはやはり市立和歌山の最速149キロ右腕・米田天翼と花巻東の怪物スラッガー・佐々木麟太郎の対決。
だが蓋を開けてみれば、米田の完勝。
持ち前の速球で佐々木が対応しにくい高めの釣り球で連続三振を奪うなど、まともにバッティングをさせなかった。
米田は東北王者の強力花巻東打線を4失点で完投。
打線も近畿大会で計3得点しか取れなかったとは思えない攻撃で5得点。
一方の花巻東は初回に幸先よく先制するも、8回までは無得点。
9回には驚異の粘りで3得点したが、惜しくも勝ちには届かず、岩手県大会で発揮した強力打線を活かしきれなかった。
この試合は両チームが、昨秋の状態とは真逆の形で変化を表した。
★ 大島 0-8 明秀日立
試合前は接戦になると思ってたけど、結果は明秀日立の完勝。
だが、試合内容は明秀日立が圧倒したというよりは、大島の守備のミスが目立って相手に得点をあげている感じだった。
逆に言えば、大島はミスさえなくせば、関東王者相手でも勝てたかもしれない。
大島の先発・大野稼頭央は146キロの本格サウスポーで、個人的に結構注目していた投手ですけど、打ち込まれてしまい、8失点ながら完投。
明秀日立の打者は大野の速球にも振り負けないスイングをしていた。
好投手を擁しても抑えられない打線はもうアッパレとしか言えない。
投手の方も明秀日立の先発・猪俣駿太は130キロ中盤の速球と変化球をきちんと低めに集め、最後まで危なげないピッチングで完封。
結果的には大差がついたものの、島から甲子園へ行く目標を達成した大島の選手は地元民に元気を与えることが出来た。
今年の夏にもう1回出てきて、今度は勝つことでみんなに元気を届けてもらいたい。
★ 丹生 7-22 広島商業
この試合の途中で筆者は帰ったけど、試合後のスコアを確かめたら驚いた。
さすがは伝統校、勝ちを確信するような点差であっても、決して最後まで油断しないという姿勢がこのスコアに表れている。
一見、大差でどうしようもない試合に見えるが、丹生は本当によく頑張ったと思います。
全国レベルの強豪相手に7点をもぎ取るというのは、中々出来ません。
2回表が終わったときには4-3でリードをしている状況もありました。
21世紀枠の3校のうちでは、丹生の打撃レベルが1番良かったです。
けど、それを大きく上回る広島商業の攻撃には圧倒されました。
序盤は少し打ち込まれる状況になるも、2回裏には8-4と逆転。
3回以降は毎回得点を重ね、16安打に15四死球を加わり、22得点。
守りも4投手の継投で何とかかわした。
広島と福井は今回2校出てきて、夏は必然的に1校しか出れないので、2チームとも県内のライバルを倒して甲子園に戻ってきてほしい。
鳴門 1-3 大阪桐蔭
初戦屈指の好カードと言えるこの対決。
大阪桐蔭と言ったら、もう名門中の名門。
昨秋は大阪府大会、近畿大会、神宮大会を全て制覇し、公式戦の敗戦は未だになし。
一方で鳴門は昨秋以降、練習試合を行えずぶっつけ本番で大阪桐蔭と対戦することになった。
鳴門にとって不利な状況の中で、結果は2点差の好ゲーム。
本当に実践練習が出来なかったのか、疑ってしまうほど試合運びが安定していた。
大会屈指の左腕・冨田遼弥が大阪桐蔭の強力打線を3点に抑えるナイスピッチング。
強打者相手に強気にインコースを攻め、自分らしい投球を本番で見事に披露。
大阪桐蔭の先発・川原嗣貴は力のあるストレートと変化球を織り交ぜ、鳴門打線に的を絞らせず、1失点完投。
打線の方は全国的に強打のイメージがあるけど、この試合は好投手が相手なだけに送りバントや犠牲フライなど、謙虚な姿勢で確実に得点を奪った。
どこが相手でも結局勝ってしまう戦力は凄すぎる。
まとめ
いかがだったでしょうか。
1回戦が全て終わり、予想通りだった試合もあれば、驚かされた試合もある。
思い通りに行かないのが野球の面白さであり、めんどくさいところ。
今、勝ち残っているチームは次の試合も堂々と戦ってほしい。
今回は本記事をご覧いただきありがとうございました。
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